Vol.07
制
作
キーワード: 分解
- 毎日毎日、分解してます。写真を美しく再現するために。
- 「写真分解って、なに?」。お客様からよく質問される内容です。確かに、印刷に「分解」という工程があることは奇妙に思えるかもしれません。
ところがこの分解、印刷の品質を決定づける重要な作業なのです。今回はこの写真の分解について紹介しましょう。
印刷における色表現は、基本的に
シアン(藍)
マゼンタ(紅)
イエロー(黄)
ブラック(黒)
を加えた4色の組み合わせで行われています。
印刷における色表現は、基本的に
シアン(藍)
マゼンタ(紅)
イエロー(黄)
ブラック(黒)
を加えた4色の組み合わせで行われています。
4つの色を混ぜ合わせ、さまざまな色をつくる。それが印刷における色表現です。
「分解」はその反対の作業。
つまり、ある色から、その色を構成しているシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの成分を取り出すことを意味します。
たとえば、
「若葉の緑色には、シアンが70%、イエローが80%含まれている」というように、まさに色を分解するわけです。
簡易版のフラットベッドスキャナはPC用のイメージスキャナとしてもおなじみですから、ご存知の方も多いはず。
フタを開けるとガラス面がある、コピー機を小型化したような形のものです。
ただし、分解データの精度としてはあまり高くありません。
一方、高解像度型なのがドラムスキャナです。
高速で回転するドラム(シリンダ)を備えた構造によって、極めて緻密な分解データを得ることができます。
分解は、スキャナのガラス面、あるいはシリンダに置かれた原稿に光を当て、
その反射光の強弱を読み取るという方法で行われます。
反射光をカラーフィルタに通すことで、特定の色だけを抽出できるのです。
かつては特殊なカメラを使うなど、本当に手間のかかる作業だった分解ですが、
スキャナの登場によって著しく効率化されました。
しかし、それですべての作業が完了するわけではありません。色の補正作業が待っています。
スキャナによって得られた分解データは、オペレータの手でカラーバランス(色調)、グレイバランス(濃度)などが
微調整されるのです。
ひとりひとりのオペレータの技術とセンスに大きく左右される、この補正こそが、実は印刷の仕上がりを決定づける重要な要素。
たとえば、料理のシズル感、自動車の立体感、肌の質感などをいかに表現するかは、
オペレータ、そして印刷会社の腕の見せ所なのです。
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