Vol.06
印
刷
キーワード: 特色 特別な色 補色
- 「特色」という言葉があります。
一般には他と違って優れていることを示す言葉ですが、印刷業界で使われる「特色」はそれとは違う意味を持っています。
今回は、お客様からのお問い合わせも多いこの「特色」について解説します。
“特”色というくらいですから、それが例外的なケースであることはご想像いただけると思います。
特色の話をする前に、まずは“特”ではないスタンダード、つまり印刷における色表現の基礎について
紹介しておかなければならないでしょう。
いわゆる「オフセット印刷」では、無限ともいえる色の世界を、わずか4色のインキで表現しています。
それは、イエロー(黄)、マゼンタ(紅)、シアン(藍)に、ブラック(黒)を加えた4色。
「たったそれだけ?」と驚く方も多いかもしれませんが、図を見ていただくとわかるように
イエローとマゼンタとシアンの配合次第で、基本的にすべての色を作ることができるのです。
これは、イギリスのヤングとヘルムホルツによって提唱された『3原色説』の理論に基づいています。
この3色をフォローするのがブラックで、たとえば写真のコントラストを高めたり、文字をより鮮明にしたり、
表現範囲の拡大と発色の補正のために使われています。
さて、本題の「特色」についてですが、それには文字通り“特別な色”という意味と、もうひとつ“補色”の意味があります。
“特別な色”というのは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインキの配合では出せない色のこと。
金や銀、蛍光色などがその例です。これらは特色インキを使って印刷するしかありません。
また、コーポレートカラーの印刷といった、特別なケースにも特色が使われます。
企業の顔であるコーポレートカラーは、安定性が求められるデリケートな色。
印刷のたびにインキを掛け合わせるのではなく、コーポレートカラーを特色インキとしてストックしておき、
毎回それを使って印刷すれば、バラつきのない安定した色が出せるというわけです。
一方、特色による“補色”というのは、色の再現性を高めるための技法といえます。
肌の色をよりリアルに再現したい、海の色をより美しいブルーで表現したい。
たとえばこうした場合に、肌の色のときは「薄赤」、海の色のときは「薄藍」、というように特色インキで色を補います。
従来の4色に特色をプラスした5色のインキで印刷することによって、奥行きのある色表現ができるというわけです。
金色や銀色の印刷で目を引く。コーポレートカラーを徹底する。つややかな肌を再現する。
このように、「特色」をうまく活かすことが、印刷物の特色になるといってよいかもしれません。
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