Vol.05

デザ
イン

キーワード: ニュートン 色

知られざる色のメカニズム
なぜリンゴは赤いのか。なぜ草はグリーンなのか。なぜ雲は純白なのか。
その理由を考えたことがありますか?
今回のテーマは色のメカニズム。色の理論を意外な発見者とともに紹介しましょう。

実りの秋。とりわけ鮮やかに色づいたリンゴは、私たちに秋の豊かさを印象づけます。
しかし、あの赤色がリンゴそのものの色ではないとしたら―。
皆さんは驚くでしょうか。


リンゴといえば、その実が落ちるのをヒントに万有引力を発見したアイザック・ニュートンのことを思い出しますが、
彼の偉大な発見はそれだけではありませんでした。


ニュートンは、色彩の理論の発見者でもあったのです。


その理論とは、色は物体そのものについているのではなく、物体を照らす光のなかに含まれているというもの。

彼はプリズムという三角形のガラスに太陽光を当てる実験で、光のなかに含まれている色を取り出してみせ、
それをレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、インディゴ、バイオレットの7色に分類しました。


プリズムによる光の分解
↑プリズムによる光の分解


さらに、彼はその7色をひとつずつ同一の物質に照射し、色の変化を観察することで、
物体の色は照明光の色によって変わって見えることも発見しました。


つまり、リンゴが赤く見えるのは、光に含まれている7色のうちレッド以外の色を吸収し、
赤色だけを反射しているからというわけです。


また、このリンゴをグリーンの光で照らしてみると、反射すべきレッドを含んでいない光に照らされたリンゴは、
みずみずしい赤い果実ではなく、ただの黒い塊となってしまいます。

言いかえると、絵の具を塗るということは、色をつけているのではなく、色を吸収するための物質を
塗り付けていることになるわけです。

太陽光や電灯の光のなかには色が含まれており、この光が物質に当たると、その物質の表面で光の吸収と反射が起こる。
吸収されなかった光が、私たちの目に飛び込み、それを私たちは物体本来の色のように感じている。


このニュートンの発見が、現在の色彩理論の原点になりました。


それにしても、色が物体そのものの色ではなかったとう事実も驚きですが、
これを1666年に若干23歳にして発見したニュートンはまさに天才というほかありません。


色の根源について。それは、印刷という形で色を追求する私たちセザックスにとっても、非常に興味深い話です。

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