Vol.87
印
刷
キーワード: PUR
- 接着剤ひとつで、読みやすい本へ。しなやかで、開きやすいPUR製本。
- 無線綴じの製本時、背の部分に接着剤をつけて固定します。この接着剤が違うだけで、本の読みやすさは大きく変わります。
耐久性が高く、開きやすい。しかも環境に優しい接着剤、それがPUR系ホットメルトを使った製本方法です。
書籍の開きが悪く、ノド元が読みづらい…といった経験はありませんか?
その主な理由は、製本の際に「EVA(Ethylene Vinyl Acetate)系ホットメルト」という接着材を使用しているためです。
この接着剤は、加熱により溶解し、冷却することで硬化する性質があり、書籍の背を固定するために使用されます。
資材管理がしやすい反面、EVA系ホットメルトは接着力がそれほど強固ではありません。
したがって製本時の使用量が多くなり、その結果、塗布面が厚くなって書籍が開きにくくなるケースがありました。
書籍の開きが悪く、ノド元が読みづらい…といった経験はありませんか?
その主な理由は、製本の際に「EVA(Ethylene Vinyl Acetate)系ホットメルト」という接着材を使用しているためです。
この接着剤は、加熱により溶解し、冷却することで硬化する性質があり、書籍の背を固定するために使用されます。
資材管理がしやすい反面、EVA系ホットメルトは接着力がそれほど強固ではありません。
したがって製本時の使用量が多くなり、その結果、塗布面が厚くなって書籍が開きにくくなるケースがありました。
こうした課題に対応する接着剤として、いま「PUR(PolyUrethane Reactive)系ホットメルト」が脚光を浴びています。
PUR系ホットメルトは、従来のEVA系ホットメルトと比べると接着強度は2倍以上。
つまり製本の際、薄く塗布することができ、開きやすい本を作ることができるのです。
見開きで見せる必要がある写真集や図などの印刷物に適していると言えるでしょう。
また、PUR系ホットメルトは固まった後も柔軟性があるため、ページを手で押さえなくても開いたままの状態で安定します。
PUR製本は、耐熱・耐寒性にも優れているため、経年変化が少なく、保存する場合にも有効です。
さらに高い環境対応力も見逃せません。
従来の接着剤は、不純物として古紙リサイクルの障害となっていました。
しかしPURは、一度固まると高温の環境でも溶け出すことがないので、古紙の回収においてパルプと100%分離が可能。
古紙の循環的な利用が容易になります。
その他、EVAと比較して加熱エネルギーが少ない、強い接着性による消費資源の軽減など、省エネ・省資源にも貢献します。
もちろんメリットだけではありません。
PUR製本は、専用ラインが必要となるため、まだ行える会社があまりありません。
また、PURは保管や扱い方、塗布が難しく、脇糊(わきのり)には使用できません。
そして若干割高なコスト、納期面での余裕が必要といった短所があります。
しかし今後は、性能や環境面からますますPUR製本の普及が進んでいくでしょう。
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